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2011年8月 8日 (月)

ススキノ物語・・・番外編・ヤクザとわたし

独身時代に下宿していたことがあった。最近あんまり聞かれない言葉である。3食付き、3人部屋で1万5千円。会社から30%の補助があった。

下宿屋さんのあった場所は、南11条西12丁目。そこには20人位の下宿人がいた。階下は美容室になっていて、可愛いお姉ちやんも沢山いた。そのお姉ちやんの部屋は私達の隣(* ̄ー ̄*)。時々ゲームのお誘いがかかった。

私達の部屋の住民は画家のようなヤツと会社員、ろくに話もしなかった。部屋の掃除だけは協力してやっていた。

廊下を挟んで向かい側には背の高いヤクザさんが住んでいた。年の頃30代後半。下宿ではペットの飼育は禁止されていたが、ヤクザさんは大きな犬1匹裏庭で飼っていた。大家さんも黙認状態。

時々ヤクザさんから遊びに来いと声が掛かる。行きたくないが目をつけられると怖いので恐る恐る部屋に入る。部屋にはたいてい2,3人下宿人が遊びにきていた。時には子分もいたり、女もいた。ヤクザさんの部屋でテレビを見るのが楽しみであった。それに食べ物が豊富に取り揃えていて、遠慮しないで食えという。

そんなある日、ススキノの飲み屋へ連れて行ってもらった。綺麗なお姉ちやんが沢山いる所で飲もうという。でも、その頃はアルコールは飲めないのだ!ウソのようなホントの話し。横にお姉ちやんが座っただけで震えがとまらなかった。ウソのようなホントの話し。うぶなのよ^^

店に入って来るお客さんは、その道の人達ばかし、ヤクザさんに軽く会釈しワシらを睨んで行く。なんだ、あの餓鬼ども。と思っていたかどうかは分からないけれど、懐にヤッパ(ナイフみたいなもの)を突っ込んでいるのは確かである。

ヤクザさんは一度だけこんな話をしていた。「週末には高倉健がくるんだよ。勿論非公式」高倉健と飲み歩いたことを自慢していた。

また、ヤクザさんはこんなことも言っていた「あまえら女が欲しかったらいつでも言うんだよ、好みさえ我慢したらいくらでも女はいるからな」僕たちは「そのときは是非お願いします」と一斉に頭を下げた。

ヤクザさんから女を世話して貰ったヤツが言うには「事務所へ行ったら女が3人いた。」ヤクザさん「オイ!○○子今晩こいつと寝ろ」女「うん、わかった」そして夜になった。みんな雑魚寝。男5人と女3人。あっちこっちでやりだしたとさ^^勿論そいつも目的を果たしてきたそうな。翌日ヤクザさんへお礼の挨拶に行ったとさ。

それから、1年の月日が流れた。下宿人は去るもの、新しく入ってくるもの。大半の部屋は入れ替わった。ワシらの部屋も画家らしきヤツは相変わらず下手な絵を描いていたが、会社員は転勤になり、新たに学生が入ってきた。コイツは勉強しないでバイトばかしやっていた。稼いだお金は売春婦につぎ込んでいた。バカなのか、利口なのか分からんヤツであった。

ヤクザさんは相変わらず犬を散歩させていたが、突然散歩姿を見なくなった。犬はエサを上げるひとがいなくなったので痩せ衰え無残な姿に変わり果てていた。誰も犬のことなど興味はないのである。

ヤクザさんが姿を消してから1週間、朝刊にデカデカとヤクザの抗争事件が報じられた。その一枚の写真はヤクザさんであった。死んだのだ!

銃弾を受けてあっけなくあの世へ旅経った。優しいヤクザさんであった。その事件があってから、私は犬の世話をやりだした。エサは下宿の余り物。犬は喜んで食べていたが、私も会社の都合で寮にはいることになった。風の便りによると、犬も飼い主を追って保険所へいったとさ。

青春時代の悲しいヤクザさんのお話しでした。

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