三途の川を渡りそこねた男 (男シリーズ8)
男の貧乏生活もここまで落ちれば生きる屍も同然。男は三角屋根の3畳ほどの部屋でのたうち回っていた。職業は学生らしい。らしいと言うのは本人が言うだけで、誰も学校へ行く姿を見たことがないからである。
男は既に3日間、ご飯に有り付いていなかった。頬はコケ、汚いせんべい布団に包まっていた。胃に流し込むものと言えば砂糖水のみ、その砂糖も残り少ない。お金は勿論ない。
男は1ヶ月前は優雅な生活を送っていた。この頃は学校にも顔を出していたようである。なにせ麻雀キチガイではまり込んだら2,3日は雀荘から離れない。これだけ、勉強に熱をだせば親父も怒らないが、仕送りのお金は麻雀と女に消えていた。
ある日、突然仕送りが止まった。電話で言う親父の言葉は、馬鹿に送る金はないである。それから男はバイトに励んだが、元々堕落な性格なのか、日雇いで貰ったお金は直ぐ消えていった。
その内、バイトもやめ部屋でごろごろしていたが、食うお金も底をついた。友人にお金を借りようとしたが、男の友人は皆貧乏人である。類は友を呼ぶというけれど、まさにその通りである。
友人が心配しパンを持ってきた。あの貧乏人がよくパンを買うお金があったと関心していた。聞いたところ、友人から貰ってきたという。よって、ここにあるパンは相当古いらしい。腹が減っていたせいもあり、3個一気に食べた。ら口の中がネバネバ、少し腐れている。が、お腹を壊すことはなかった。
翌日、親父が突然やっていた。バカたれ目がと言って封筒を置いて3分もいないで帰っていった。封筒には5万円が入っていた。メモには無駄使いしたら、もう諦めるからな!・・・意味はすぐに分かった。
後で、聞いた話によれば、友人が親父に電話したらしい。一言、息子は餓死寸前だよと言って電話を切ったそうです。
夢の中で死んだ母親の呼ぶ声が聞こえた。綺麗な川がながれ、その向こうは花畑であった。母親は花畑に立っていた。私の名前を呼んで、こっちへ追いでという。この川を三途の川と言うのかもしれない。
いままで、同じような夢を2回みている。2回とも川を渡ることは無かった。渡れば死んでいたのかも・・・
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