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2012年6月 2日 (土)

社説:性犯罪と再犯防止 矯正スタッフ拡充せよ

毎日新聞 2012年06月02日 02時32分

 裁判員制度になって最も変化したことの一つは、性犯罪の被告に対する量刑である。最高裁によると、強姦(ごうかん)致傷罪で最も多い量刑は裁判官だけの裁判では懲役3年以上5年以下だが、裁判員裁判では5年以上7年以下、強制わいせつ致傷は裁判官だけでは3年以下が最も多いが、裁判員裁判では3年以上5年以下だ。これまで性犯罪への認識が甘すぎたことを思えば前進だが、量刑を重くするだけでは再犯防止に効果が少ないことも知ってほしい。

 13歳未満の性被害は、強姦・強制わいせつだけで毎年1000〜2000人に上る。これは加害者が検挙されて確認できたものだけであり、泣き寝入りなどで表に出ない潜在被害が膨大であることは間違いない。性被害を受けた子どもはうつや心的外傷後ストレス障害(PTSD)などに長く苦しむ。非行の原因とも深い関係があると言われ、少年院に入る子どもに高い確率で性被害体験があるとの調査結果もある。

 性犯罪の再犯率は他の犯罪に比べて特別に高いわけではないが、子ども相手の性犯罪と3回以上の累犯者に限ってみると、顕著な再犯傾向が見られるという。セクハラや痴漢が次第に強姦などへとエスカレートする傾向も強い。リスク要因に対して早期に介入し矯正へとつなげることが重要なのだ。

ただ、注意すべきなのは「厳罰化」が必ずしも再犯リスクの低下にはつながらないことだ。加害者への制裁の効果を調べた研究では、罰金や損害賠償には効果が認められる一方で、加害者に恐怖心を植え付けたり、全地球測位システム(GPS)チップを体内に埋め込み所在地を確認できるようにしたり、長期間服役させるだけという制裁はむしろ逆効果との結果もある。

 奈良の女児殺害事件(04年)、保護観察中の男が複数の少女を監禁した事件(05年)を機に刑務所や少年院での矯正の強化が図られ、認知行動療法や、犯行を繰り返す心理を詳細に分析して介入する「リラプス・プリベンション」という専門的な治療・教育が少しずつ実施されるようになった。こうした精神医学や心理学をベースにした矯正を受けた場合と受けない場合では再犯率で約2倍の差があるとの調査結果もある。

 一方、公務員数削減の影響で刑務所や少年院の医療・心理職の不足は深刻だ。裁判員制度になって量刑が重くなり、専門的な矯正を受けるのに十分な期間は確保されるようになったが、これでは何にもならない。性犯罪、特に子どもの性被害がどれだけ社会に深刻な影響を及ぼしているかを認識し、矯正現場の人員体制をもっと拡充すべきである。

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