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2012年8月16日 (木)

社説:韓国大統領発言 外交努力自ら壊すな

毎日新聞 2012年08月16日 02時32分

 韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領が先週の竹島(韓国名・独島)上陸に続き、極めて不適切な発言をした。

 天皇陛下の訪韓可能性に関して、「独立運動をして亡くなった方たちに心から謝罪するというならいいのだが、『痛惜の念』だとか、こんな単語一つなら、来る必要はない」と述べたのだ。

 「痛惜の念」とは90年に当時の盧泰愚(ノ・テウ)大統領が訪日した際、天皇陛下が述べた言葉である。日本による植民地支配の歴史についての言及だが、韓国では「率直な謝罪になっていない」などと不満が出た。

 その経緯はともかく、李大統領の発言が日韓関係をひどく傷つける性質のものであることは自明だろう。日本政府が韓国政府に抗議したのは当然である。

 韓国の歴代大統領が一人として行わなかった竹島上陸にあえて踏み切り、日本国民の神経を逆なでする発言をためらわない現状は、あまりにも刺激的で危険すぎる。李大統領には強く自制を求めたい。

 日本の終戦記念日は韓国にとって植民地支配からの解放を祝う「光復節」である。1965年の日韓国交樹立以降も厳しい反日感情が残ったが、長期的に見れば関係改善が進み人的往来も劇的に増えた。

 一方、韓国経済の発展や民主化、世代交代などを背景にナショナリズムが強まり、日本にとっては悩ましい竹島、従軍慰安婦といった摩擦要因が顕在化した。

同時に、かつては機能した日韓の政治家、官僚による摩擦回避のシステムが、やはり世代交代によって機能不全に陥った。これをカバーする新たな枠組みを作り損ねたのは日本の大きな失敗だったのではないか。 今や韓国社会のエンジンにあたる世代は、一般的に日本より中国を重視しているように見える。

 こうした時代変化の中でも両国民が友好的な往来を続け、部分的ではあれ文化も共有しているのは、両国の人々が営々として築いてきた協力関係のたまものである。李大統領の行動や発言を看過できないのは、この努力の積み重ねを決定的に崩壊させかねないからだ。

 幸いにして、李大統領は15日の光復節演説で、従軍慰安婦問題には言及したが竹島には一言も触れなかった。韓国政府は竹島や周辺海域で予定していた新たな施設建設を当面見合わせる方針だと報じられている。

 韓国の国民世論も今のところ反日ナショナリズムの嵐が吹き荒れるという状況ではないようだ。

 しかし油断はできない。日本政府も言うべきことを言うのは当然として、国内のナショナリズムが不測の事態を招かぬよう留意が必要だ。

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