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2012年8月 6日 (月)

社説:原爆の日 「核との共存」問い直そう

毎日新聞 2012年08月06日 02時36分

 広島は6日、長崎は9日に「原爆の日」を迎える。昨年3月の東京電力福島第1原発事故を機に、原子力の平和利用に対する疑問が膨らみ、被爆地からもエネルギー政策の転換を求める声が高まっている。私たちは今、核とどう向き合うのか問い直されている。

 両市の平和式典で読み上げられる平和宣言は昨年に続き、原発事故を反映したものとなる。広島市は平和運動を率いた被爆者、故森滝市郎氏の「核と人類は共存できない」という言葉を引用し、安全なエネルギー政策の早急な確立を政府に要望する。長崎市も政府にエネルギー政策を明確にするよう呼びかける。

 被爆者団体や反核・平和団体でも「脱原発」の主張が勢いを増している。日本原水爆被害者団体協議会は原発に頼らないエネルギー政策を求める声明を発表した。原水爆禁止日本国民会議は福島で開いた今年の世界大会で脱原発を強調し、原発事故の被害者との連帯をアピールした。

 被爆体験を持つ日本は戦後、核兵器の非人道性を世界に訴えてきた。一方で、1955年に成立した原子力基本法で原子力の平和目的の利用を規定し、核兵器には反対しながら原発は推進するという道を歩んだ。

しかし福島の出来事は、平和利用でも事故が起きれば長期にわたって深刻な被害をもたらす原子力の恐怖を見せつけた。首相官邸前で毎週行われている反原発デモの広がりは、そうした市民の意識を映し出している。核による被害という共通性を軸に、広島・長崎の被爆者と原発事故の被害者との間で連帯が生まれてきたのは自然なことだ。

 核軍縮を巡る状況は依然厳しい。世界には約1万9000個の核兵器があると推計される。北朝鮮やイランなど核開発を進める国もあり、脅威は弱まっていない。09年にオバマ米大統領が核のない世界を目指すと宣言したのを機に国際社会で核軍縮の機運が高まったが、経済危機の対応などに追われるうち、その熱気は消え去ってしまった。核軍縮の動きを再び前に進めるよう、各国は努力を続けていかなければならない。

 一方、広島、長崎両市が呼びかけた平和市長会議は30周年を迎え、2020年までの核兵器廃絶を目指す加盟自治体は5300を超えた。市民約10億人に相当する。粘り強い訴えは確かに世界に共感を広げている。

 日本は、核兵器の恐ろしさだけでなく、原発事故の経験や被害の実相を世界に伝えていく責任を担っている。「核と人類は共存できない」という言葉の重みを今一度かみしめたい。その原点に立ち、平和利用も含めた原子力の問題を根本から議論していく必要がある。

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