« ロンドン五輪・16日目の注目競技 | トップページ | IOC選手委員選挙、室伏広治の当選取り消し »

2012年8月12日 (日)

社説:竹島問題 深いトゲをどう抜く

毎日新聞 2012年08月12日 02時32分

 日本と韓国が領有権を主張している竹島(韓国名・独島)に李明博(イ・ミョンバク)韓国大統領が上陸し、実効支配をアピールした。なぜ今、大統領が先頭に立って日韓関係に無用な波風を立てるのか。理解に苦しむ。

 竹島は、1905年の閣議決定で島根県に編入された。これに対し韓国は52年、海洋主権宣言を行って一方的に公海上に線引きをし、竹島を内側に組み入れた。その後は沿岸警備隊を常駐させ、ヘリポート、接岸施設を建設するなど、実効支配を続けて今日に至っている。

 その一方、国家元首である歴代大統領は、これまで竹島上陸を避けてきた。深刻な外交摩擦を生じさせないため、一定の配慮が働いていたともいえる。それだけに、今回の上陸は竹島をめぐる日韓の対立構図を一変させる、新たな挑発的行為と受け取られても仕方がない。

 日本政府が、武藤正敏駐韓大使の一時帰国などの対抗措置をとったのは当然だ。日韓関係は当分、冷却期間が続くことになろう。

 韓国では年末に大統領選が予定され、李大統領の任期はまもなく終わる。政権末期で支持率低迷にあえぐ大統領が、世論の矛先をかわすために対日強硬カードを切った、という見方が出ている。だが、実効支配をしている側の韓国がそれをことさら誇示することは、竹島問題に関心の薄かった人も含め、日本の世論の反発を強めるだけである。

領土問題は国民感情を刺激する。それを注意深く制御することが、政治指導者の重い責任だ。大統領の竹島上陸は、その責任を放棄する行動ではないのか。日米韓の安全保障協調にも悪影響が出れば、中国や北朝鮮を利する結果になる。

 韓国には、いわゆる旧日本軍の従軍慰安婦問題などをめぐって、日本側の対応に強い不満があるのも事実だ。だからといって竹島問題でかつてない強硬姿勢を示すことは、互いの国民の理解を得て懸案を解決することをより困難にする。

 今回の事態を招いたことは、日本外交の反省点にすべきだ。韓国に日本の立場や譲れない一線を理解してもらい、竹島問題での対立が日韓関係全体を悪化させないよう、十分に取り組んできたとは言いがたい。

 玄葉光一郎外相は、国際司法裁判所への提訴を検討する考えを示している。韓国はこれまで同様、応じない構えだが、国際社会に日本の主張の正当性を訴えていく努力を重ねることが必要だ。それとともに、竹島問題という深いトゲをどうすれば抜くことができるか、政治家は知恵を絞ってほしい。強硬策の応酬による一時の喝采ばかりでなく、長期的な相互利益も考える時だ。

|

« ロンドン五輪・16日目の注目競技 | トップページ | IOC選手委員選挙、室伏広治の当選取り消し »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 社説:竹島問題 深いトゲをどう抜く:

« ロンドン五輪・16日目の注目競技 | トップページ | IOC選手委員選挙、室伏広治の当選取り消し »