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2012年8月 3日 (金)

ゴール間際ロクテ抜く、しかし電光掲示板には

入江は決意を秘めて、決勝のプールに向かった。「自分の殻を破る」

 小さい頃から、水の抵抗が少ない美しいフォームでスタミナを保ち、後半に失速する相手を追い抜くスタイルを築いてきた。だが昨夏の世界選手権(上海)では、200メートル背泳ぎで世界最速のロクテ(米)から前半に離されすぎ、終盤の追い上げも実らず2位に終わった。

 「型に固執していては勝てない」。前半から勇気を持って攻めるには、後半のガス欠を無意識に恐れる、己の心に打ち勝つ必要があった。この1年間、新しい自分を模索してきた。

 そして迎えたロンドン五輪決勝。6コースの入江は、隣の5コースを泳ぐロクテだけに意識を集中していた。倒すために対策を練り尽くし、相手の爆発的な加速に食らいついた。

 前半100メートルで、ロクテと0秒22差の2位。プラン通りの展開でラスト50メートルへ突き進んだ。ゴール間際でついにロクテを抜き、勝利を確信して電光掲示板を見た。

 ところが、名前の隣に「2」という予想外の数字で、着順が表示されていた。4コースの新鋭クラリー(米)が、2人を上回るスパートで優勝をさらっていた。「金メダルだけを狙ってきたから、正直悔しい。けど、100%のレースはできた」。全力を出し尽くし、潔く言った。

 宿敵を倒したが、新たな強敵が出現し、敗れた。負けるたびに大粒の涙をこぼしていた頃の入江なら、心が折れてしまったかもしれない。

 しかし、厳しい自分との戦いを経て、22歳になった入江はたくましく成長していた。記者会見で、一つ年長のクラリーに向かってこう宣言した。「彼のようなライバルと磨き合って、次の五輪で必ず頂点に立つ」

 最高の結果を求められるのは、エースと呼ばれる者の宿命。入江は、それを背負い切る覚悟を決めた。(佐藤謙治)

(2012年8月3日15時10分  読売新聞)

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