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2012年8月29日 (水)

余録:魚をうまそうに食べるカワウソに…

毎日新聞 2012年08月29日 00時11分

 魚をうまそうに食べるカワウソにサルが捕り方を聞く。すると「寒い時に尻尾(しっぽ)を川に差し入れればいくらでも魚が食いつく」という。サルがそうすると川が凍り尾が抜けなくなる。力んで引くと尾が切れ、以来サルは顔が赤く尾は短くなった▲この昔話「尻尾の釣り」は全国各地に分布し、登場する動物も土地によりキツネ、タヌキ、ウサギの場合もある。カワウソはそれらと同じく身近な動物だったのが分かる。美女や入道に化けて人をたぶらかす怪異譚(たん)も多い▲河童(かっぱ)伝説も起源の一つはカワウソだといわれる。尾を支えにして後ろ脚で直立したり、川岸の斜面を滑り台のようにして親子で遊んだりする姿がよく見られたという川の主だ。人の暮らしがカワウソのすむ自然に包み込まれ、一つの物語世界をなしていた昔であった▲だが今や30年以上も、日本の川から姿が見えなくなっていたニホンカワウソである。それにとうとう「絶滅種」の指定が下された。毛皮目当ての乱獲と開発にともなう河川の環境変化で大正末期から激減し、最後の生息確認は1979年、高知県の川でのことだった▲哺乳類の絶滅種にはニホンオオカミなど4種が指定されていたが、昭和まで生息していた哺乳類ではニホンカワウソが初の指定という。動物と共に生きていた世界を捨て、人の身勝手をひたすらふくれ上がらせた文明が、また一つ断ち切ってしまった生命の輪である▲何しろ他の種を絶滅させながら「絶滅種」の指定までする人間だ。かつては妖怪と思われたカワウソならば実はどこか人知れない場所で生き残り、人の思い上がりをあざ笑っていてはくれまいか。

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