12年で50億円を使った男
先日のブログで朽ちた家を書きましたが、その中に銅山や硫黄鉱山が出て来ますが、今回は硫黄鉱山をテーマにしました。
古い話しですが、我が故郷函館市に皆月善六という硫黄鉱山王がいて、当時日本郵船の船長をし、知床半島岬沖を通過したとき、煙を発見し、これは硫黄だと判断。翌年雪解けを待って人跡未踏の知床に入り硫黄鉱山を発見。
巨富の利を得て函館三大紀文(紀文=富豪・紀伊国屋文左衛門の通称。)の一人と言われるようになる。
今回の主人公は善六を祖父にもつ、皆月栄一の話し。栄一はこれが三代目かと思われるほどみそぼらしい姿で網走に住みついていた。栄一の代に入った時は硫黄鉱山は休眠状態であったが、60年に一度噴火すると言う噂があり、その当時は噴火する毎に大量の硫黄が噴き出していたと言う。その度に巨額の利益を生むが、栄一の代は未だに噴火していなかった。が、硫黄の鉱区を手放すことはしなかった。
60年が近づいてきたある日、突然噴火した。彼は一夜にして億万長者になったのだが、自分で事業する気は毛頭なく、鉱区を他の鉱山主へ売ってしまったのだ。この時、先方と売値の交渉は数日間続いたが、決着がつかじ、疲労が蓄積しトイレにたった。その時芸者が1人来て耳打ちをした。栄一は嬉々として交渉に臨み指5本で妥結した。この時、栄一は指1本は10万円と思っていたのだが、それが10億円だと芸者が耳打ちされたのだ。
栄一は50億円が懐に入ってからは、毎日遊び暮れていた。遊び相手は素人でなくプロの女だけ。気が付いたときには梅毒に感染し、見る間に体力が衰え、札幌の病院へ入院することとなった。長期間の治療の効果があり退院したものの、目はうつろで生気はなく、その内菌が脳にあがり、あっけない生涯を閉じた。この時は既に殆ど財産もなく、12年間で50億円を使い切ってしまったのだ(1年4200万円)。栄一は事業に手を出さなかったことから、全て女に消えたようである。
参考資料
実録・網走刑務所(硫黄成金と豆わらじ) 山谷一郎
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