生きられる社会へ:生活保護の今 基準額切り下げ現実味 「耐えている」層を直撃
毎日新聞 2012年09月27日 東京朝刊
生活保護が縮小されそうだ。政府は8月、「生活保護の見直し」という文言を盛り込んだ13年度概算要求基準を閣議決定した。「見直し」は保護費の基準額切り下げや保護の抑制につながる可能性が高い。「最後のセーフティーネット」の縮小は私たちにどんな影響をもたらすだろうか。【稲田佳代】
◇社会制度や福祉サービスと連動
生活保護受給者は過去最高を更新(211万人)したが、そもそも自民党は以前から生活保護の基準額10%切り下げを主張していた。民主党政権も見直しを盛り込み、切り下げはいよいよ現実味を帯びてきた。
保護基準額が切り下げられると何が起きるか。花園大学(京都市)の吉永純(あつし)教授(公的扶助論)は「まず、今まさに生活保護を受けている人たちが排除されてしまう」と危惧する。
生活保護は、食費や光熱費など生活費に相当する「生活扶助」を中心に8種類の扶助で構成され、それぞれに基準額がある。年齢や家族構成に応じて8種を組み合わせて「最低生活費」を算出し、申請世帯の収入が最低生活費に届かなければ不足分を保護費で支給する仕組みだ。
基準額が切り下げられると「最低生活費」も低くなる。すると、収入が増えたわけでもないのに突然保護に該当しなくなる受給者が出てくる。
もちろん、受給中の人の生活も苦しくなる。生活保護を受けながら、孫で10代のきょうだい(姉と弟)を引き取って育てている首都圏の女性(66)も、切り下げを心配する。
女性はアルバイトで月6万円を稼ぎながら、孫たちの養育費などを生活保護で補う。孫たちは新幹線にも飛行機にも乗ったことがない。夏休みに遊びに行くのは地域の公共施設。家計を気遣ってか「どこか遊びに行きたい」とも言わない。
続く
http://mainichi.jp/feature/news/20120927ddm013100010000c2.html
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