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2012年10月11日 (木)

iPS心筋移植、日本なら書類の山…森口講師

【ニューヨーク=柳沢亨之】あらゆる種類の細胞に変化できるiPS細胞(新型万能細胞)から作製した心筋細胞を使い、世界で初めて臨床応用した米ハーバード大学の森口尚史客員講師(48)は10日、この画期的な治療法を学会発表するため訪れたニューヨーク市内で本紙のインタビューに応じた。一問一答は次の通り。

          ◇ 

 ――患者6人の内訳は。

 いずれも米国籍で、日系の患者も1人。ハーバード傘下の同じ病院の患者だ。最初の患者は肝臓移植を受けていたため、心臓が悪くなったのに次の移植の機会がなかなか得られなかった。心筋梗塞や狭心症、糖尿病も持ち、仮に心臓移植をやっても難しかっただろう。ほかの5人も、慢性虚血性で重症の心不全。危険因子を多く抱えていた。3人は何か治療しなければ死んでいただろう。他の3人も1か月くらいしかもたない状況だった。患者たちの容体は安定し、1人は社会復帰して働いている。

 ――安全性の確認は。

 心臓に細胞移植をしても、がんになりにくいが、もしなっては困る。(異常細胞がないか)確かめたが、問題が全部クリアできていた。動物実験も問題なかった。

 ――チーム構成は。

 5人ほど。私が細胞を担当し、統計処理もやる。過冷却の担当者は生命工学や機械工学を専攻するハーバード大とマサチューセッツ工科大の大学院生ら。学生なら面白かったら参加してくれる。機動力のある仲間がいるからできた。

 ――日本と米国の違いは。

 日本なら規制が色々あってできなかっただろう。このまま日本でやっても書類の山をためるだけだった。こうした試みで100%の安全性を求めるのは困難。親方日の丸ではダメ。本気なら(金を)出せよと。私は自腹も切っている。若い人が動けるシステムを作らないといけない。

 ――資金調達は。

 資金は、大学院生らがボストンのベンチャーキャピタルに行って集めてくれた。ベンチャーからの資金は1億5000万円くらい。ハーバードの名前が効いたかも。(日本では)研究に税金が使われる。そうすると「成果を上げなければならない」との縛りが生まれ、リスクを避けがちだ。

 米国と日本では、ベンチャーの数も、目利きできる人の数も違う。臨床ではビジネスに結びつけなければダメ。患者も金をかけており、見合う効果をリターンしなければいけない。その視点が抜けている。

(2012年10月11日16時05分  読売新聞)

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