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2013年1月17日 (木)

ホステス・キワコ・・・52

あれは、男が結婚する数年前の出来事であった。仕事が終わると、地下鉄に乗り真駒内へ向かっていた。そこには小さな飲食街があり、そこのスナックにキワコがいた。キワコは21歳になっていた。

男がキワコと初めて会ったのはススキノの飲食街のスナックである。キワコはアルコールはそれ程飲むタイプではないが、店内にお客が少ないといつも男の相手をしていた。キワコはそれほど美人タイプではないが、目が大きく身長は158センチ位でデブと言う程でもないがぽっちゃりしていた。男はキワコを見ているだけでも心の安らぎを覚えた。

そんなキワコが突然男の前から姿を消した。ママに聞いても知らないと言う。それから数ヶ月が過ぎた。店のホステスに聞いたところ真駒内の小さなスナックにいるらしいという情報をつかんだ。真駒内の飲食街については全然知らないことから、昼間に行って調べてみたところ、こじんまりした飲食街があった。

スナックの数もそれ程多くない、小さなスナックが多いけれど、なんとか見つけることができそうである。男はそれから毎日真駒内へ通った。3日目にそれらしい店があることを知ることができた。

その店に入ったのは22時を過ぎていた。薄暗い店内には4,5人の客がいてカウンターの中にキワコがいた。男とすぐに目が合った。キワコはビックリし、どうして分かったの?と言う。男は隅のカウンターに座った。

その内客は帰り、男1人となった。キワコは泣きながら男の前から消えたことを詫びた。消えた理由を話そうとしたら、男は口を遮った。理由は聞きたくない。今こうして会えたのだから、それで良いじゃないか。俺を嫌いか、嫌いならすぐに帰るけど。

男とキワコはススキノのスナック勤務時代に深い関係になっていた。5年後に一緒になる約束していた。何故5年後とキワコは不信な顔で聞いた。その頃は、収入が安定する年齢であることから経済面の話しをしたことを覚えている。キワコは共稼ぎをすれば良いじゃないかと言うが、男は妥協しなかった。

それから、キワコとは時間を見付けては旅行をした。幸せな時であった。でも、別離は予想もしない展開でやってきた。キワコは子宮ガンに侵されていた。ガンはキワコの体を貪り、日増すに弱って行くのがわかった。キワコは会いたくないと言う。こんな痩せ細った体を見せたくないと言う。男は毎日病院へ通った。母親は男の姿を見てはいつも涙していた。

キワコが帰らぬ人となって数か月過ぎた頃、お墓参りに行った。その墓は小さな小山の斜面にあった。男は花と果物、ジュースを供えた。

ウォーキング日記

1月の目標 713.000歩(1日23.000歩)

1月16日 走法 ラン&ウォーク 28.114歩(22.5キロ)

1月トータル455.260歩(364.2キロ)

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